~しあわせのプロになる♪~オーガニックライフの魔法

オーガニックライフサポーターしょうこの、しあわせのプロになるための気づきや感動をシェアする日記

日日是好日

「今ここにいる」ことが、なんて難しい時代なんだろう。

 

スマホ

リアルすぎるバーチャル画像、

情報の洪水…。

 

「心ここにあらず」にする物が溢れすぎている。

 

だけど、だからこそ、

「今ここにいる」ことの尊さが、

川底からやっとの思いで探し出したキラキラ光る砂金のような、

喜びと感動を感じられるものだと思う。

 

 

映画「日日是好日(にちにちこれこうじつ)」を、

金沢の祖母と観た。

 

そもそも母が私に「これ読んで!」と原作を渡してきたのが始まり。

 

「お茶」を習う主人公の心の動きや成長や発見が綴られた

この作品は、

 

 

映画では、樹木希林演じるお茶の先生(さすが…と吐息が出るほどの演技。絶妙なニュアンスが、たまに笑える(笑)、

そして主人公は黒木華が熱演。

 

「熱演」と言うほど激しいシーンはないのだが、

そう表現したのには理由がある。

 

原作の中で私が気に入った箇所がこちら。

 

 

【私は何も言えなかったのだ。

言えばきっと、言葉の空振りになるのがわかる。

思いや感情に、言葉が追いつかないのだ。

ーーー(中略)走って誰かに伝えに行きたいような胸の熱さと、

言葉が追いつかない虚しさと、

言いたいけど言えないやるせなさが、せめぎあう沈黙。

沈黙とは、こんなに熱かったのか……。】

 

 

10年がかりで発見した素敵なことを、口に出さず味わう主人公。

 

素晴らしい気付きがたくさんあるけれど、

 

あえて教えずに黙って、

 

弟子みずから気付くのをひたすら待つ先生。

 

静かに穏やかに流れる映画の中で、

 

そんな【熱い沈黙】を彼女たちは演じていた。

 

 

昔から、私は日本人特有の「秘める」という意味が分からなかった。

 

アメリカ留学をキッカケに、

 

ますます「思ったことをすぐに伝えるほうが良いに決まってる!」と確信し、

 

帰国後もそう努めた。

 

だけど、そうやって生きていくうちに、いつからか、

 

「雨より晴れのほうがいい」

「元気じゃないより元気なほうがいい」

「暗いより明るいほうがいい」

「1人より大勢がいい」

「沈黙よりにぎやかがいい」

「ゆっくりより迅速なほうがいい」

「闇より光がいい」

 

そんなふうに思っている自分に気づいた。

 

自分の中に起きている感情や気付きを、

 

味わい、熟成する前に、即シェアしてしまうから、

 

結果、作る世界が浅くなってしまったりする時もある。

 

だけど、世の中「光」だけで出来てるわけじゃない。

 

毎日毎日がカラリと晴れて、明るく過ごせるわけじゃない。

 

日日是好日」とは、

 

「晴れの日も雨の日も、毎日がよい日」という意味だそう。

 

雨の日には雨を聴く。

 

暑い日には暑さを感じる。

 

私たちが季節は春夏秋冬の4つだ、とザックリ生きている一年を、

昔の人はなんと24の季節に区切って、

風や雲、虫や植物の変化をいとおしんでいたそう。

(つまり2週間ごとに季節が違うということか…感受性すごすぎる…)

 

それをひとつひとつ感じて、

 

「いまここ」を味わうのが「お茶」の世界なのかもしれない。

 

お茶に限った話ではない。

 

心や生き方に「道」を持っている人は、

 

なにか見えないけど確かな「芯」がある。

例えば剣道を20年以上続けている素敵な友人がいるが、

彼女の口から

「わたし剣道、大好きやねん!」という言葉が出てきたことはないし、

むしろ「私、別に剣道向いてるわけじゃないよ」

と言った時に私は心底驚いた。

だけど、剣道を語る口調の中にほとばしる熱さを感じるし、

なにより「続けている」という事実が、

どんな言葉よりも物を言う。

彼女も、すぐには言葉にできない何かを感じながら、

自分の感情や好き嫌いよりも、

自分に流れてきた「道」や「形」への敬意を優先して、

続けてきたんだろうか。

日日是好日」の主人公も

「別に好きなわけじゃ…」と言いながら毎週土曜日に必ずお茶に通い、

自然と一体になる感覚や、

「今ここにいる」という感覚を掴んでいく。

原作では「まえがき」に、(映画ではラストに)

【世の中には「すぐわかるもの」と「すぐにはわからないもの」の二種類がある。】

という表現がある。

すぐに良さがわかるディズニー映画のような作品もあれば、

最初はさっぱり分からなくても、

年齢と共に良さが分かるものもある。

「道」とは、明らかに後者なのだと思う。

この「日日是好日」という映画を、

私は高校生の時に観ても「ふーん」で終わっていたかもしれない。

だけど、いまこの年齢で観て、

こんなに胸を打たれていることが嬉しい。

もし映画をすでに観た方は、原作をぜひ読んでほしい。

 

 
もちろん映画だけでも素晴らしい。

そしてセットだと広がる世界が違うので、もしこれから観る人は、ぜひ! 

熱く、静かに、心にしみわたる作品だった。

 

このさき生きていくことが、ますます楽しみになってきた♪